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歌うレターカウンセリング「わたしをみて」

 

作詞・作曲 長谷川 白紙

今ここで俺を見てほしい
お前の目がなくては
何処に居ても詰まらない俺が目を覚ます

毛分け芒(のぎ)から 埃から,逃げ出しきてここにいる 須臾(しゅゆ)に瞑って 伝導を睫毛越しに拒んで 甘く軽くも射し込もう お前だった位置へと 俺はそしたら 踊りの起草に近づけるような 気迷いから椅子に向かい少しだけ

俺の暗渠(あんきょ)の中で飢える玉虫色に 物の
怪の容(すがた)を求めたのだ

以前、いずれ車の免許を取るつもりだと書いたが、昨年末、約半年をかけて何とか取ることが出来た。

 

学科はともかく、実技が下手すぎて基本料金に5万円ほど課金したり、仕事の合間をぬっていくため中々予約が取れなかったり(教官に「あんたまだ卒業してなかった?」と驚かれたり。みんなそんなにすいすい卒業できるの?)、心が折れそうになりながら、昨年最後の試験に滑り込み合格。まさか合格したすぐ後に撮るとは思わず、ちょっと気が抜けた格好の写真が免許証にのっている。

 

免許は取れても、私は中々ハンドルを握る気にはなれなかった。

先ほども書いたように、教習中は自分の下手さ加減に嫌になるし、事故を起こしてしまったらどうしよう、という恐怖心も強かった。そのため仮免許中もほとんど乗ることがなかった。

そんな私を見かねたのか、ちゃんと乗らないといつまでも上手にならないよー、と半ば強制的に上司が会社の車を貸してくれた。

 

 消極的ながら、おっかなびっくり乗り始める。すると・・・あれ、意外と楽しい。

当たり前だが、目的地まで楽に行ける。重いもの、大量のものを一気に運べる。天気に一喜一憂することもない。

自転車とこんなにも違うのか、はー。どうしよう、もうペダルこげないかもしれない。

 

先日、雨の中海岸に車を止め、ラジオを聴きながらぼんやりと灰色の海と空を眺めていた。

それはとても穏やかな空間で、車は止まっていても楽しいものなんだと新発見だった。

 

 あと、石垣は小さいと感じた。於茂登岳(おもとだけ。沖縄県内最高峰。島の北側に東西に広がる)はまだ越えてはいないが、空港や、市内の近くにあるバンナ岳のあたりまでは探検に出かけた。

意味もなく、仕事終わりに町中をぐるぐると回った。すぐに着いてしまう。もっとふらふらしていたいのに。島を小さいと感じ、それを悲しいと感じた。そう感じた自分にも驚いた。

 

でもこの気持ち、初めてじゃない。

引きこもっていた頃、私は時々真夜中の町中をふらふらと自転車を走らせていた。

とめどない不安を消してくれるものや人、場所に出会えるかもしれない

それらを探していた。もちろん偶然それらをみつけられるはずもなく、せめて那覇だったら見つけられるかもしれないのに、と町の小ささを悲しく思っていた。

まさか、車に乗っても同じような感情を抱くなんて、人の性格って変わらない。

 

 そう、性格の話である。私はある日、スタッフにこう話した。

「どうしよう、車に乗ってたら、どんどん自分の性格が悪くなっちゃう」教習中にもビデオで見たし、それ以前にもテレビや動画で見た、ハンドルを握ると性格が変わる人(悪い方に)。

自分は違うもんね、と思っていた。

でも私はそんな人だったのである。

 

 住宅地の中の2台がギリギリ通れる細い道の十字路、反対側からも車が来たのでお互い止まって様子を見ていたら後ろから追い越して行く、とか。青信号の交差点を進もうとしたら、右側からすごい勢いで自転車が飛び出してくる、とか(相手側は赤信号)

 

石垣の道路は思いのほか悪路が多い。

メイン道路でも結構凸凹しているし、凹を通り越して小さな穴が開いている所もチラホラ。

側溝に蓋がない所も多い。夜になると町中でも思った以上に暗く、横断歩道でも外灯が無ければ歩行者が見えずらい。また、酔っているのか後ろも見ずにふらっと車道に出てくる人も。町中罠だらけに思え、舌打ち、悪態をついてしまった事が何度かあった。

 

 更に、私は先頭を走ることが苦手だ。

後続車がやたら気になる。運転へたくそと思われていないだろうか?

相手が不機嫌になっていないだろうか?とオドオドし、しまいには、ちょっと後ろに着け過ぎじゃない?とイライラする。

他者の目が気になる過剰反応が運転で発揮されるとは思ってもみなかった。

 

 このまま運転のストレスをネガティブに受け、怒りや憎しみで反応し続けていたらいかん!と思い、冷静な気持ちを意識するようになった。

ぺーぺーの私の運転だって、周りから見たら危険な時もあるはずだし(自分でひやっとした事もある)、今は「自分が正しい」という思いと「周りにどう見られているか」という気持ちを運転中は手放す練習中である。

 

 

 飛び出したりしないでちゃんと私を見て!ということで、今回は長谷川白紙(はせがわ はくし)を聴いて頂きたい。

幼少期にピアノを習い、小学生の頃から作曲の様な事をしていたそうで、初めて買ったCDはサカナクション。

 

その頃からエレクトロニカに興味を持ち始めたそうだ。中学生の時にインディーレーベルに自作曲を持ち込むようになり、2016年に音楽共有サイトに曲をアップ。

これが実質デビューだろうか。2017年にインディーレーベルより配信、翌年CDデビュー。この人を知ったきっかけは、東京スカパラダイスオーケストラとのコラボ曲だった。

陽気なブラスサウンドの間に挟まれた、ちょっとおかしな歌声と歌詞とメロディー。気になって検索したら、飲み込まれてしまった。

エレクトロニカだけどいきものっぽい。綺麗な音の洪水の底に何か黒いものが見える。

百鬼夜行の様だ。百聞は一見に如かず、一度YouTubeで聴いて巻き込まれてみてほしい。

 

 

 追記  

5月15日、沖縄本土復帰の日。そして今年は50周年の年だった。

その日、石垣ではエレファントカシマシのボーカル、宮本浩次のソロライブがあった。

まさか石垣島で彼のライブが見られるなんて!コロナの不安が頭をよぎりつつ、チケット受付時は石垣島でのライブまでしか発表されておらず「まさか島でツアーファイナル!?」と友達と興奮してしまい、運よくチケットが取れたので見に行った(ちなみにその後、公演は追加されファイナルでは無くなった)。

 

日本トップのミュージシャン4人をバックに、ほぼMCはなく、壊れてしまうんではないかと思うほど激しいパフォーマンスで約1時間30分を駆け抜けていった。

アンコール時のメンバーとのやり取りで、今日は復帰の日のため、沖縄本島で会場を押さえられず石垣島になったとネタばらしをしてくれて、わざわざ石垣島を選んでくれたんだ!と感動していた私はずっこけてしまった。

メディアでは連日復帰の日の話であふれていたが、石垣はどこか静かな空気が漂っていた。

 

テレビやラジオからあふれる熱との差が奇妙に感じられた。ラジオから大工哲弘が歌う「沖縄を返せ」が聴こえた。

「沖縄を返せ 沖縄を返せ」の繰り返しを「沖縄を返せ 沖縄《に》返せ」と歌っていた。

たった一言変えただけ、でもその重さに、少し呆然としてしまった。

 

私の父の誕生日は5月15日だ。認知症とパーキンソン病が進んでしまい、現在は入院している。  

先日のリモート面会で母が「昔はみんなで沖縄を返せってパレードしたね」と父に話しかけていた。 

そんな話、初めて聞いた。もっと父の話を聞いておけば良かった。喜びと驚きと後悔。

 

それが私の今年の復帰の日だった。



知名 誉   石垣島    

 

 

                             

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コメント: 4
  • #1

    ひとみ (木曜日, 14 7月 2022 19:20)

    悠カフェで、知名さん
    本人にzoomで会えて嬉しかったです。�
    今まで、インナーチャイルドが60年間もの長い間「わたしをみて」♪ってずっと、この歌のように訴えてたかなーなんて思いました。
    これからは、イジケそうになったら「わたしをみて」♪を聴いてインナーチャイルドの声を思い出そうかな〜

    宮本浩次のソロライブは、うらやましいーーー!!!
    私も、好きでーす。

    また、沖縄復帰の日でしたよね。私は、ティーンズポストさんに行くようになってから沖縄が好きになりました。

    沖縄復帰の日のNHKテレビの音楽番組で、戦争中に収容所に入れられた人が、空き缶などで三線を作って、演奏して歌を歌って生きる支えにしたそうです。
    私も、沖縄の方の強さを見習って沖縄の歌
    を歌って勇気をもらえたらいいなぁ〜と思います。

  • #2

    クロまねよん人 (金曜日, 15 7月 2022 17:06)

    免許の更新のビデオで「交通事故は出がけのメンタルが影響する」と言ってて、その通りと思うけど、そこで終わっちゃうのがなんだかなー。じゃあ、どうやってメンタル調えるが大事だから、こういう話を伝えてほしい

    お母さんがお父さんに若い頃のこと話しかけているのがいいなー。いろんな話が聞けそう。

  • #3

    黒島直昭 (水曜日, 20 7月 2022 09:52)

    知名さん

     お久しぶりです。

     お元気ですか
     何年ぶりだろう。石垣島って狭いよね~
     石垣島を離れてはや7年。(はやっ)

     運転免許合格おめでとうございます。

     ボクもこちらに来て、都会での運転はいまだに恐いです。
     去年10月に車の後方から追突されました。(泣)
     安全運転、大切ですね。
     いつか、また会いましょう。
     

  • #4

    ゆーみん (月曜日, 19 9月 2022 18:52)

    イイトコサガシではどうも♪

    私にとって車の中は、好きな音楽(ラジオ番組)聞いたり、大きな声で歌ったり
    独り言をぶつくさ言えて、時にはメソメソ泣いたりできるパーソナル空間です。

    ところが先日、およそ10年前に取り付けたドライブレコーダーが壊れて
    最新の360度撮影できるドラレコに買い換えたら・・・
    車内の様子(私の顔も声)も録画しているとのことで、
    パーソナル空間じゃなくなってしまった感じがしてがっかり。
    とはいっても、すぐに慣れて、相変わらずぶつくさ言っています。

    息子がサカナクションのファンなのこともあって、
    サカナクション聞くようになりました。
    「わたしをみて」長谷川白紙は、初めて聞きました。
    言葉を大事にしてる感じが似てますね。