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9月号: I can find good in others.

▶︎最近、父といるとムカムカします。近くにくるだけでイヤです。そんな様子を母は「お年頃〜❤︎」とかノンキにからかうけど、この間までUFO(未確認飛行物体)のようだった父が、最近家にいる時間が長くなって、とても居心地悪いです  PN. 林檎

 

▶︎小さい頃、母が家を出て行ってしまって、父と祖父と3人暮しで、まったく会話がありません。特別話したいわけでもないけど、学校も落ち着かないし、イエもくつろげなくて。。。  PN    K太

 

クロイヌ相談所 所長🐾クロイヌです。

家族の中のいわゆる「お父さん問題」が続けて届きました。

 

小さい子どもにとって、親は「世界」なんですが、成長するにつれ次第に別の世界があることを知り、今まで当たり前と思っていた家族や親の別の面が見えてきます。

それは、親のイヤな面であることが多いんだけど、それまで慕ってきた親だけに、戸惑うこともある。

親を好きならイヤな部分は目をつぶる、あるいは、イヤな部分が見えるなら親とは近づかない、と極端な白黒思考なったり・・・

だけど、目をつぶっても、近づかなくても、モヤモヤは消えません。

 

そこで、親の「人格」と「問題」を分けてみましょうか。

親は親として、生まれた時から変わらぬ「人格」として存在するわけだけど、そこにくっついているイヤな面は親の持つ「問題」、つまりオプションとして見ていくということ。

《気もちや考えることを見せない》

《時々機嫌がいいと面白くないギャグをいう》

《お酒が入ると説教を語り出す》

お母さんは怖いと言いながら、横柄な態度をとる》

 

 ・・・・・・・・・・

下の図は、お父さん(だけじゃない男性も)が社会的に当てはめられる「男らしさの箱」です。 

生まれつきこの箱に入ってこの世に出てくる男性なんていないんだけれど、社会や家族から「男なんだから」と箱に収まることを強化されていく時、その人らしさというか、情緒をもつ「人格」はどんどん薄くなり、オプションが増えて、なんだか愛されないキャラができあがります。


男らしさの箱は実態より膨らませるものだから、本人だって、この箱に入り続けるのはつらいだろうけど、ちょっと外に出ようと
したり、はみ出そうものなら、「だらしない」「情けない」「優柔不断」「父親失格」という言葉で非難されたり、仕事上の立場や役割やさまざまな場面でプレッシャーを受けることになります。

「痛みや弱みは見せるな」となると、つらくなるほど心を閉じていくことになる。む〜〜〜


もちろん、時代はどんどん変わっているから、お祖父さんの時代、お父さんの時代は、すでにもう当たり前ではないんだけどね。

制度が変わっても、人間の意識って、なかなか簡単に変わりきれないことがあります。

それでも、意識を変えていくということは近道だし、大切なこと。

人は一生、変化し成長し続ける存在です。

 

いつの時代もこの箱を打ち破って、言葉、音楽、アート、ファッション、さまざまなフィールドで、今ある世界にチャレンジし、自分を含む弱い立場や不自由な人々をも解放し自由にしてきたのは10代なんだ、ということ、心に留めておいてほしいです。

 

🐾クロイヌ

 

 僕の暮らすこの島は太平洋戦争時、強制疎開先でマラリヤに感染し多くの島民が命を落とした。


「お父さんのお父さんもマラリヤで死んだんだよ」
10代の頃、テレビで当時の特集番組を観ていた父が話しかけてきたことがある。
<急に何を言い出すんだ?>と思った僕は「そう」とそっけない返事をしただけだった。
その頃、僕は父と会話がなくなっていた。

小さい頃の僕は父が大好きだった。出勤する姿を見送り、帰宅すると家の前の海に一緒に泳ぎに行った。
やがて中学生になり、生きにくさでどうしようもなくなっていた僕は、自分の気持ちを父に伝えたい、理解してほしいと思うのに、<僕は理解されてないんだ>と、父を遠ざけるようになっていた。
 
そういえば、「昔、川崎に住んでいたことがあったよ」と話しかけてきた時があったんだ。

僕はその時もそっけなかった。


一昨年、入院していた病院で父は亡くなった。

コロナ禍で面会もままならず、短い時間、タブレット越しに様子を見るだけだった。

 

いま僕は父に聞きたい。

祖父が亡くなった時に乳児だった父がどうやって暮らしてきたのか。

若い頃の父と一緒に古いアルバムに写っていた川崎の人たちは誰なのか。

僕が小さい頃にやっていたレコード屋は、どうやって始めたのか。

時々僕の働く店にふらっとやってきたのはなぜなのか。


父に理解してほしかった僕が、いま父のことを理解したがっている。

 

✏️______________________________★

 チナホマレ

引きこもり10年選手。30年前、TEENSPOSTにつながった元17歳少年。生まれ育った沖縄の離島で今日ものんびり暮らす。TEENSPOST スタジオ悠で会員限定無料プログラム「沖縄からだケア」担当。

 

 


 父の瞳 My Father's Eyes エリック・クラプトン

 

どうすれば父に伝えられるんだろう?
父と二人で何をすればいいんだろう?
少しずつわかってきたのは
僕がそれを必要としているってこと

僕は父の瞳を見つめた

実父の顔を知らず、母親が再婚した時に母の弟のフリをしなければならなかった12歳の記憶。長年苦しんだうつ、依存症から生き延びた体験を綴る映画「12小節の人生」(日記、手紙、デッサン、本人の語りを含む音楽ドキュメンタリー)はU-nextで配信中。

 

 


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コメント: 2
  • #2

    クロイヌ (木曜日, 18 9月 2025 17:32)

    今月のテーマは「私は他者のイイトコを見つけられる」
    40代で依存症回復の道につき始めたエリック・クラプトン、伝説のアンプラグドライブ https://youtu.be/8MOAN5mO-6o?si=oF3-F9fLZ_tXSPH4 では、最後のリフが「Were you really so faraway?(ほんとにそんなに遠かったのか)」あなたメッセージで恨めしいけど、リンク映像の60代ではコーラスで「Bit by bit, I've realized(少しずつ気づいた)」と強調され、最後のリフが「I looked into my father's eyes(父の瞳を見つめた)」一人称メッセージのリフと泣きのギターがからむ。
    10代のヤードバーズ(The Yardbirds)時代 https://youtu.be/k_GsOQ3Zgw8?si=lvoHBVlY57m5w_iL から、変わるものと変わらないもの、12小節の人生が聴こえてくる

  • #1

    かま (月曜日, 15 9月 2025 12:27)

    今月父を亡くしました。団塊の世代の父と団塊ジュニアの私です 父のことを考えることがありますが、気持ちの整理はこれからになると思います。それよりも自分の仕事を片付けて、気持ちを落ち着かせたい心持です。